建築施工図って何なの?

建築施工図は、日本のゼネコン業界で現場で使う図面です。

よく、建築設計図と勘違いしている方が多いのですが無理もありません。

何故なら、建築施工図は、とてもレア図面だからです。

今回は、建築施工図って何なの?と、疑問を抱いているあなたに向けて、建築施工図について書いてみますね。

日本のゼネコン業界では、設計図では建物は施行出来ない

日本のゼネコン業界の現場で建物を造るときに設計図では施行出来ません。

設計図とは何?

そもそも、あなたは設計図が具体的にどんな図面なのか?分からないかも知れませんね。

そこで、設計図とはどんな図面かを解説します。

例えば、Aさんが、東京都内の所有している敷地に、マンションを建てたいと考えたとします。

しかし、建築の素人のAさんには、どのようにして、マンションのプランなどを設計すればいいか分かりません。

そんな時、1級建築士事務所やゼネコンに設計をいらいします。

ゼネコンは、設計施行ですので、ゼネコンの社内には、設計部があり、1級建築士登録していますので、建築の設計も出来ます。

ちなみに、建築士の資格には、

  • 1級建築士
  • 2級建築士
  • 木造建築士

などがあります。

1級建築士は、どんな建物でも設計出来ます。

2級建築士は、木造建築なら建物高さ13m、軒高さ9mを超える建物は設計出来ません。

又、延床面積1000㎡以上の建物の設計も出来ません。

木造建築以外では、例えば、RC造、S造の場合は、高さ13m以下、軒の高さ9m以下、1階~3階建て、延べ床面積は100㎡以下に抑える必要があります。

イメージ的には、個人住宅の設計なら2級建築士、ビルなら1級建築士の資格が必要な感じです。

以上のように、建物の構造や規模によって1級建築士の資格が必要か?2級建築士の資格が必要かが決まります。

これらのことは全て、建築基準法という法律で決まっています。

さて、Aさんの敷地にマンションを建てるために、AさんはB建設に設計施行を依頼しました。

B建設とはいわゆる「ゼネコン」です。

何故なら、施行するために必要な図面の描き方になっていないからです。

これが、現在(2019年2月4日)の特に、ゼネコン業界の現状です。

AさんはBゼネコンの設計部のC担当と何度か打ち合わせを重ねて、C担当者を中心に、構造設計担当者、設備設計担当者、電気設計担当者と打ち合わせを重ねて設計図書を作成していきます。

C担当者は、意匠設計担当者です。

意匠設計とは?

意匠設計とは、建物のプラン、デザイン、仕上げ材、面積、高さなどを決める

設計です。

構造設計とは?

構造設計とは、建物の構造部分の設計をすることです。

耐震性などを建築基準法に準じて構造計算してクリアできるかを

設計します。

設備設計とは?

設備設計とは、給排水や空調などの設計を行います。

電気設計とは?

電気設計とは、建物の電気の部分の設計を行います。

確認申請

建物の基本的な設計が、意匠、構造、設備、電気全て終了して、確認申請に出せる図面が揃いましたら、建物を建てる敷地の管轄の特定行政庁に確認申請を提出します。

確認申請は、建築基準法第6条、第6条の2、第6条の3に基づく申請行為です。

建築主であるAさんは、建築確認申請を提出して、建築主事、あるいは、民間の指定確認検査機関で、建築基準法に適合しているか?審査をしてもらいます。その際に、消防法に定められた防火対象物である場合は、消防長による確認前の同意が必要です。

今回の記事で詳細は割愛(別の記事で詳細をかきますね)しますが、建築基準法に準拠しているか「民間の指定確認検査機関」で審査をして指摘事項などを修正して検査済み証の交付を受けてはじめて施工ができます。

日本は設計図書だけでは建物が建たない

日本のゼネコン業界の現状は、前述した、設計図書では建物が建ちません。

個人の木造住宅は例外として、設計図書があれば建物は建ちますが、ゼネコンが

受注する中規模以上の大きな建物は、RC造、S造、SRC造などの構造上、設計図書だけでは建物の施工はできません。

又、これは今後の課題ですが、現状の設計図書の品質の低下が大きな問題です。

建築施工図とは?

日本の現状は設計図書だけでは建物を施工できないので、設計図書を基に、

建築施工図、設備施工図、電気施工図を描きます。

これはなにかといいますと、現場で建物を施工するために必要な情報が記載された

図面を描くのです。

まとめ

いかがでしたか?

建築施工図がどのような図面かなんとなく理解できましたか?

今回の記事があなたの参考になれば幸いです。


この記事を書いた人

キース

当ブログの管理人のキースです。
建築施工図を平成8年から描いています。長年の施工図業務の経験によるためになるコンテンツをお届けします。
よろしくお願いいたします。